はじめに
10年前、Appleは一番最初のiPhoneをこの世に出現させて世界を変えました。今日、私たちはAppleの18番目のモデルーiPhone Xを分解します。丸みを帯びた全てがスクリーンのディスプレイ、これがスティーブ ジョブスが生前、思い描いていたiPhoneだったのでしょうーしかし今、彼の夢が現実となりました。このモデルは最初のiPhoneのように世界に影響を与えるのでしょうか?その答えは時間の経過と共に見つけられるはずです。そしてこれから始まるiPhone Xの分解レポートを読んで、ご自身で判断してください。さあ、Appleの王冠に付けられた宝石の中身を開きましょう。そして何がこの石を輝かせているのか見ていきましょう。
今回も南半球で行われた分解をホストしてくれたCircuitwise 、毎度ながらX線画像を届けてくれるCreative Electron、チップ識別に協力してくれるTechInsights に多大なる感謝の気持ちを伝えます。
Facebook、Instagram、 Twitter、 Twitter日本語版をフォローしたり、Newsletter を定期購読して最新ニュースをいち早くゲットしましょう。
必要な工具と部品
ビデオの概要
-
-
iPhone Xの登場です! さてガラスのサンドイッチの中身は次の通りです:
-
A11 Bionicチップ、ニューラルエンジンと組み込み型M11モーションコプロセッサ付き
-
5.8インチ(対角)オールスクリーンOLED Multi-Touchディスプレイ、2,436 x 1,125ピクセル解像度(458ppi)
-
デュアル12MPカメラ(広角と望遠共に)、広角:ƒ/1.8の開口部、望遠:ƒ/2.4の開口部、OIS
-
7 MP TrueDepthカメラ、ƒ/2.2 の開口部、1080p HDビデオ撮影とFace ID
-
Qi充電器によるワイヤレス式高速充電
-
802.11a/b/g/n/ac Wi‑Fi w/MIMO + Bluetooth 5.0 + NFC
-
-
-
iPhoneは10年間という長い道のりを経て、ここにたどり着きました。実際、デバイスのデザインは当初の姿に若干戻ったように見えます。iPhone Xは、ここ数年手にしてきたモデルに比べてオリジナルiPhoneに似ています。
-
数ヶ月前に発売されたiPhone 8と同様に、iPhone Xの背面から目障りな(そして環境保護の)指令マークが消去されました。
-
Jony (AppleのChief Design Officer)は長年願っていたスムースでシンプルなデバイス背面のデザインをついに手にしました。これにより、リサイクル表示が消されたため、簡単にゴミ箱に投げ捨てられないことを願っています。
-
-
-
内部を分解する前に、友達のCreative Electronが撮影してくれたX線画像を確認してみましょう。
-
確認できたものは次の通りです:
-
なんと2つに分割されたバッテリーセルが確認できます。これはiPhone史上初です!
-
基板面積はとても小さくなりました。半田付けポイントが2重にあることから、基板が積層されているように見えます。
-
フロントセンサー用に十分なスペースを与えるため、耳をあてるスピーカーは少し下側に移動しました。
-
Taptic Engineと下部スピーカーの間にミステリアスなチップがあります。ここには一体何が潜んでいるのか興味深々です!
-
-
この手順で使用する道具:iOpener$17.99
-
このペンタローブネジは妙な形で、未完成のネジに見えます。ネジの先端は溝が無く、正直ネジというよりピンのようです。
-
このネジ部分はディスプレイからスチール製フレームを繋げています。そしてネジ先端のスムースな部分がとてつもなく長くなりました。
-
このペンタロープネジのデザインによってディスプレイにより柔軟性を持たせることができたと推測します。ネジが長くなったことにより、デバイス内部にある取付ブラケットに繋げることができました。結果として、増大したLightningコネクター用スペースを確保できたのです。
-
幸いなことに、それ以外に大きなデザイン配置の変更はないようです。そこで私たちの三種の神器であるiOpener、iSclackとiFixitの開口ピックがこれまで同様活躍してくれそうです。
-
つまり圧着剤の抵抗感はさほど強くありません。そして皆さんもご存知のディスプレイとは異なり、フレームによってOLEDは頑丈に支えられています。
-
-
-
基板から巨大なブラケットを外した後、ついにクパチーノ(Apple本社)発、最新フラグシップを動かすハードウェアの一端を垣間見れます。
-
今のところ、先に披露したX線画像があるためディスプレイ上のハードウェアの確認は後回しにしましょう。このX線画像でディスプレイ上に搭載されたミステリアスなチップの存在を発見しました!
-
気分転換にディスプレイを先に外して、フロントカメラを残しておきましょう。
-
このデバイス全体を写した画像とX線画像のレイアウトが一致します。大部分のスペースが新導入のデュアルセルバッテリー用に占められており、基板用のスペースは大幅に縮小されました。
-
-
-
この密集度が高い基板を取り出して、詳細に確認していきましょう。
-
この小型基板は驚くほど素晴らしいスペースの有効活用をしています。コネクターとコンポーネントの密集度はこれまでに前例がないほどです。Apple WatchとXの密度から比較すると、Apple Watchの基板上にはもっとスペースが残されています。
-
コンパクトになったiPhone Xの基板はより多くのテクノロジーを搭載しており、iPhone 8 Plusの基板がひょろ長く、広大に見えてきます。
-
この2つの基板の表面積を比較すると、iPhone XはiPhone 8 Plusの基板の約70%に縮小されました。これによってバッテリー用のスペースを拡張できたのです。
-
-
-
Appleは一体どうやって70%に縮小された基板上により多くのテクノロジーを搭載出来たのでしょうか?言うまでもなく、基板を半分に折り畳んだからです。
-
2つに折られた基板は半田付けによって固定されています。この分解をホストしてくれたCircuitwiseの協力で、BGA ホットエアー再加工ステーションを使ってこの基板を切断しました。
-
基板を全て切り離した後、全ての基板部分を合わせてみました。なんとiPhone 8 Plusの基板面積に比べて35%も拡張していたのです。素晴らしいスペースの有効活用です。
-
積層されたiPhone Xの基板はオリジナルiPhoneが現れて以来、初めてのデザインです。(3番目の画像参照)
-
-
-
-
半分の基板情報です:
-
Apple APL1W72A11 Bionic SoCに SK Hynix H9HKNNNDBMAUUR 3 GB LPDDR4x RAMが積層
-
Apple 338S00341-B1 パワーマネージメントIC
-
TI 78AVZ81バッテリーチャージャー
-
NXP Semiconductor CBTL1612A1—1610 トライスターICのイテレーションのよう
-
Apple 338S00248 オーディオコーデック
-
STMicroelectronics STB600B0 パワーマネージメント
-
Apple 338S00306 power management IC
-
-
-
Apple/Murata USI 170821 339S00397 WiFi / Bluetoothモジュール
-
Qualcomm WTR5975ギガビット LTEトランシーバー
-
Qualcomm MDM9655 Snapdragon X16 LTE modemとPMD9655 PMIC。しかしAppleはモデムをデュアルソーシングしています。TechInsights はiPhone Xのモデル番号A1901の中にIntel XMM7480(PMB9948) が搭載されていることを発見しました。このモデムは問題なく稼働しますが、AppleはQualcommのパーツでギガビットのスピードに対応していません。
-
Skyworks SKY78140-22 パワーアンプ、 SKY77366-17パワーアンプ、S770 6662、3760 5418 1736
-
Broadcom BCM59355 ワイヤレス充電コントローラー
-
NXP 80V18PN80V NFCコントローラーモジュール
-
Broadcom AFEM-8072, MMMBパワーアンプモジュール
-
-
-
新しいデュアルパックのバッテリーには4つのプルタブが付けられています。これはiPhone 8に使用されていた短いプルタブとよく似ていますが、以前とは違う場所に付けられています。
-
このバッテリー容量は10.35 Whで(3.81 Vで2716 mAh)、8 Plusの10.28 Whと比べると若干増量しました。しかしながらGalaxy Note8 のモンスター級バッテリー12.71 Whと比べると足元に及びません。
-
デュアルパックデザインの目的は容量ではなく、スペースを有効活用する方法として導入されました。バッテリーを2つに分割することでより自由な形状や配置箇所が可能となります。基板を縮小させることで、残されたスペースが最大限利用できるのです。
-
-
-
もちろんFace ID機能はご存知ですよね?通常、私たちは分解のみ行いますが、稀らしく分解前に試行しました。撮影に使用されたビデオカメラは上手くドットパターンの投射を写せませんが、イルミネーションが出ているのは確認できました!
-
ここから歴史の時間: 昔々、MicrosoftがKinectと呼ばれる素晴らしい空間センサーを製造しました。赤外線ドットマトリックスというテクノロジーはPrimeSenseというイスラエルのテック会社によって開発されました。
-
2013年、AppleはこのPrimeSenseを360億円で買収しました。このテクノロジーを世に送り出すまで、何百億円もの投資を重ねてきたに違いありません。
-
この買収によって、Microsoft はKinect 2用の新しいセンサーシステムを開発するのに手こずりました。一方、iPhoneは深度センサーを手にしました。iPhone Xユーザーはこれをドローンに取り付けて利用するでしょう!
-
-
-
さて次は待望されてきた
(ミニチュア版Kinect)TrueDepthカメラシステムに注目してみましょう!このシステムはFace IDを機能させるため様々なセンサーと融合させています。 -
システム手順1:ディスプレイに埋め込まれたフラッドイルミネータが顔に赤外線を投射します。
-
手順2: フロントカメラが赤色に点滅し、顔が存在するかしないか確認します。
-
手順3: 赤外線ドットプロジェクター(2番目の画像で一番右)が顔全体に投射され3Dの顔のマッピングを作り出します。
-
手順4: 左側の赤外線カメラがこのマッピングを読み込み、電話本体にデータ送信します。
-
iPhone Xの内部ではとてつもなく早いソフトウェアの魔法によってこれらのデータをひとまとめにして、所有者本人であるかどうか、または世界のどこかにいるもう一人の双子かどうか識別するのです。
-
-
この手順で使用する道具:Jimmy$7.95
-
ボーナスラウンド: 新iPhone Xのリアガラスが割れてしまうと一体どうなるでしょうか?
-
何回にも渡って熱を当て、スパッジャーを(諦めて)脇に置き、特製Jimmyでスライドしながら切り込みます。XもiPhone 8、8+同様、かなりの量の圧着剤がリアパネルに付けられています。
-
Jimmyで注意深く内部を切り込んでいきましたが、またもや行き止まりです。iPhone 8のリアパネル1枚とは違い、カメラの突起がリアガラスの上に重ねられてメタル製フレームの下で極めて繊細に溶接されています。
-
クッキー用保存瓶の口に手が挟まって取れないというよくある”行く手を阻まれる状況”では手(カメラの突起)を切断するか、クッキーの保存瓶(リアガラス)を割るしか抜け出る道はありません。困ったものです。
-
-
-
22コースにも及ぶ分解ディナーを楽しんでいただけたでしょうか。栄養満点の内容でした。
-
iPhone 8/8+の分解をまだご覧になっていない方は是非ご覧ください。また、過去に発売されたスマートフォンの修理難易度リストもご自由にご覧ください。
-
いつも快く助けてくれるCircuitwise、Creative Electron、TechInsightsに感謝の気持ちを伝えます!
-
- ディスプレイとバッテリーの修理はiPhoneの中で最も優先順位が高いパーツです。
- ヒビが入ってしまったディスプレイは生体認証機能のFace ID ハードウェアを交換せずに修理ができます。
- 圧着剤の使用よりも取り外しが簡単なネジの使用が望ましいのですがー修理には標準型プラスドライバーに加えて、Apple 独自のネジ専用ドライバー(ペンタローブとトライポイント)が必要です。
- 耐水性機能によってある修理は作業が複雑になります。しかし水没によるダメージからの回復作業を考えるとより簡単ですが、この修理はあまり起こらないでしょう。
- ケーブルが複雑なアセンブリの中に分け目なく繋がっています。ーこれを交換するには経費が重なり、交換作業は困難です。
- 落下したとき、全体がガラスに覆われた正面と背面ではダメージが入ってしまう可能性が高まります。そしてもし背面ガラスが割れてしまった場合、全てのコンポーネントを取り外して、筐体全体を交換しなければなりません。
まとめ
リペアビリティのスコア


(10点が最も修理しやすい指標です)
以下の翻訳者の皆さんにお礼を申し上げます:
92%
これらの翻訳者の方々は世界を修理する私たちのサポートをしてくれています。 あなたも貢献してみませんか?
翻訳を始める ›
146 件のコメント
Incredible and dense tech inside this iPhone - thanks ifixit!
Wow! So exciting!
Hello,
Could you give us more info about NFC antenna localization? I suppose it’s on top of the back panel (to avoid conflict with Qi )
Thanks
It’s the top bezel itself, as always.
Tom Chai -
From Iphone 6 to XS Max, its always been on top?