Valveは有言実行です。Steam Deck用の純正パーツと修理ガイド、そしてIndex VRヘッドセット用の公式パーツの提供を開始しました。
Valveと連携して、世界中のゲーマーに純正パーツと修理用マニュアルを提供できるのはエキサイティングなことです。しかしリペアビリティに関して言えば、Valveは更なる改善を目指しています。彼らは、Steam Deckの設計と発売において、ゲーム業界のスタンダード化を目指す賢い選択をしています。Valveは、次のように語っています。
Steam Deckチームは、希望に満ちたこの修理プログラムを始動しました。私たちは修理可能なSteam Deckを設計しており、iFixitと協力して、ユーザーに修理用パーツと修理マニュアルを提供できることは、全て道理にかなっています。
さて、彼らはどのように修正を図ったのでしょうか?その方法をじっくりと考えてみましょう。
修理プログラム始動前のリペアビリティ

まず、ValveはSteam Deck発売の数ヶ月前から交換用パーツの提供を約束し、修理コミュニティからの質問に対応しました。そして、最終的にIndex VRのパーツ提供も含めて、さらにレベルアップしました。修理を配慮したデザインは後回しにされる傾向にありますが、Framework LaptopやFairphoneなど、修理できることを基本にデザインされた特異な例外もあります。通常、ゲームコンソールは修理には不向きなものとして見なされています。そのため、高く期待されている有名ゲームコンソールが組み立ての段階からリペアビリティを考慮されているのは、とても新鮮です。
さらにValveは自社で行なったSteam Deckの分解を公開しました。ビデオではサムスティックと SSDだけ取り外し、1 分以上にわたる安全性に関する警告が表示された後、分解は終了します。一般の修理業者たちにとっては、少し大げさだと感じるかもしれません。一方でValveはiFixitが行う分解のために、Steam Deckを提供してくれました。テック企業自らが、自社製品の内部を開くためのやり方を公開するだけでなく、発売前に実行してくれるのは素晴らしいことです。
モジュール性=リペアビリティ

Valveが行なった分解では、Steam Deckに施されたお気に入りのデザインも幾つか紹介されています。まず、モジュールのサムスティックが搭載されているのは、大きな利点です。ゲーム業界全体において、サムスティックは耐久性に欠けるため、簡単に交換できるハードウェアの設計が必要です。Valveはそれを実現しました。次に、モジュールで市販のストレージを搭載できることも高得点です。実に多くのSteam Deckユーザーが、公式パーツや修理ガイドが出る前にストレージをアップグレードしたようです。これは修理が正しくできるデバイスである証です。
iFixitによるSteam Deckの分解と修理ガイドの作成中、評価すべき点を再発見しました。外部筐体はシンプルなプラスネジとクリップで固定されているため、ファンは簡単に交換ができます。おそらくノートパソコンのファンを交換したことがある人ならすぐに気づくはずです。またディスプレイケーブルが取り外しやすいことも、大きなポイントです。ディスプレイは非常に重要で高価なパーツなため、ちょっとしたケーブルの損傷で全体が台無しになるのはとても残念なことだからです。
成長の余地
バックパックに押し込めば、どこにでも持ち運びができて、部屋中を歩き回りながらゲームができるSteam Deckの修理のしやすさは特に重要です。Valveは、私たちの要望をすべて満たしたわけではありませんが、Steam Deckのリペアビリティスコアは7/10と、高い評価を受けています。
私たちが一番に願うものは、「手に入れやすいバッテリー」です。バッテリーの寿命には限りがあり、交換は基本的なメンテナンスと考えるべきです。Steam Deckのバッテリーは接着剤で固定されていて、壊れやすいフレックスケーブルに埋もれているため、これを慎重に脇に寄せなければなりません。強力な接着剤にはイソプロピルアルコールの使用をお勧めしますが、このデバイスでは下側のフレームの穴から漏れて、ディスプレイを危険にさらす可能性があるので、あまりお勧めできません。そのためバッテリー交換は “難しい “と評価しました。しかし、これは確実にこなせる修理で、iFixitの手順ごとにまとめた修理ガイドが公開されています。特にストレージの容量を重視するガジェットの場合、バッテリーを接着剤で固定したデザインは珍しくありませんが、それ以外のパーツが修理しやすいので、残念です。(次の新モデルには、ストレッチリリースタイプの接着ストリップを期待しましょうか?)

一方、Deckのモジュール式サムスティックは大変ありがたいのですが、静電容量式タッチケーブルはハンダ付けされていないものを強く要望します。摩耗したサムスティックのキャップやセンサーを交換するには、ハンダ吸取線を準備するか、サムスティックアセンブリ自体を購入しなければならず、大掛かりな作業となります。
Steam Deckを日常的に使用すれば、充電ポートは消耗を重ねていきます。しかしUSB-Cポートは、マザーボードにハンダ付けされています。USB-Cポートを破損した時、ハンダ付けのスキルある方でなければ、マザーボードごと交換するしかありません。これが唯一の解決策です。一方で、ヘッドホンジャックは独立した交換可能な基板が搭載されているので、作業に手間はかかりません)。
ゲームコンソールメーカーの皆さん、準備は出来ていますか?
私たちは、Valveのパーツ提供プログラムを通じて、コンソールの内部情報を公開し、リペアビリティの高いデザインへと導いたことに、大変満足しています。Valveはリペアビリティという競争の中で一歩先にでました。
そして好機逸すべからずです。修理する権利は日々、モメンタムを得ています。修理が持続可能な未来に不可欠であることは、全世界が認めるところです。Valveのようなメーカーが修理を尊重し、ユーザーに修理する力を与えることは素晴らしいことです。
他のゲームコンソールメーカーもValveに追随することを期待しています。Valveには、次にくるであろうモデルSteam Deck 2でリペアビリティ改善の余地があるはずです。それを手にする日が待ち遠しいです。
翻訳:Doi Midori
0 件のコメント