私たちは、自分の所有物に対する”修理する権利”を守るため、大きな進展を遂げてきました。しかし、修理する権利に関するニュースを追っていると、この法律にはゲームコンソールに対する大きな穴があることに気付くかもしれません。カリフォルニア州で、2023年中盤に署名された修理する権利法は、タブレット、スマートフォン、ノートパソコン、冷蔵庫、洗濯機などを対象としますが、ゲームコンソールは含まれていません。そして先日、オレゴン州で可決された「修理する権利」法案にも、同じ免責が加えられています。
ニューヨークの「修理する権利」法案には、「ゲームコンソールおよび娯楽用(エンターテイメント)コンソール」が含まれますが、ここに大きな抜け穴があります。ゲームコンソールメーカーは、”連邦法と矛盾する、あるいは連邦法に違反する方法で “、交換用の部品や工具、修理マニュアルを提供する必要はありません。ここで、なぜ連邦法なのでしょうか?信じられないことに、米国の著作権法は、光学ドライブの交換を不可能にするソフトウェアロックの回避を違法としています。
この法律とは少し異なりますが、状況は大西洋の向こう側でも、大きな差はありません。EUでは、ゲームコンソールはエコデザイン指令の対象外で、代わりにDIY修理を無視する自主的な協定が適用されています。これは、ストレージや光学ドライブなどの「(重要な)部品を使用する修理」は、「認可された修理または改修センター」による「専門的な修理環境下で行われる」ことを義務付けています。
なぜでしょうか?端的に言うと、ゲームコンソールは海賊版を防ぐためにペアリング設計された部品があり、修理がその渦中に巻き込まれています。ゲームコンソールメーカーは資金源が豊富で、雇ったロビイストの手腕により、これまでに通過した全ての修理する権利法の対象から逃れてきました。
彼らの主張を詳しく見てみましょう。その前に、一つ明確にしたいことがあります。コンソール修理の制限は、ビデオゲーム修理店やゲーマーたちに影響を与えます。
ゲームコンソールの修理は助けが必要
ゲームコンソールの修理には問題があります。世界中のゲームコンソールを専門とする修理店を対象に行った調査の結果、メーカーが敷いた制約によって、修理が阻まれていることが報告されています。最も一般的な障害は、壊れた光学ドライブやハードドライブの修理です。スキルや知識の不足からではなく、メーカーによる妨げの結果です。調査した修理店のうち、93%が壊れた光学ドライブを修理するのに苦労していると報告しています。また半数以上の店舗では、修理できない壊れたコンソールが倉庫で山積みになっています。

ビデオゲーム業界のロビーストは修理に反対してきた
私たちが全米の州議会で支持してきた電子機器を対象とする修理する権利法案のほとんどすべてに、ゲームコンソールが含まれていました。しかし、ある一つの大きなロビー団体が抵抗し続けています。その名は、エンターテインメント・ソフトウェア・アソシエーション(ESA)です。

ESAは、Sony、Microsoft、任天堂などの三大ゲームコンソールメーカーを始め、EA、Ubisoft、Activision Blizzardなどのゲームパブリッシャーを代表しています。もし「ESA」という名前に馴染みがなければ、かつて毎年行われていた「Electronic Entertainment Expo(E3)」というイベントでぴんと来るかもしれません。ESAは大規模なイベントの開催だけでなく、メーカーを代表して各地に代理人を派遣し、立法機関に対して修理する権利に反対する活動を行っています。
ESAが”修理する権利”に反対する背景として、「”修理する権利”の義務化は、その対象が狭い範囲に限定されたものであっても、ビデオゲーム業界と消費者に急速かつ深刻な悪影響を及ぼす可能性がある」ということのようです。
それはかなり思い切った発言と言えます。どんなに狭い範囲であれ、修理しやすさという要件が考慮されないのなら、率直に言って相入れることができません。ゲーマーとメーカー、双方がゲームコンソールを長く機能させ続けたいと願っているはずなのでは?なぜESAはユーザー自身でやるコンソールの修理が、ビデオゲーム業界に有害な影響を与えるという考えに固執してしまうのでしょうか?
ESAは、海賊版への懸念(交換可能なパーツや回路図やツールへのアクセスは、海賊行為を助長すると言われている)や、コンソールの耐用年数(一般ユーザーが自分のマシンを勝手に開けると壊れてしまうとされる)に起因します。しかし、盗作の影響については議論の余地があり、修理可能なコンソールは海賊版を助長することなく、耐久性を損害することなく実現可能であることが分かっています。Steam Deckの成功を見れば、その証拠が見て取れます。
ESAに相当する欧州のビデオゲーム・ヨーロッパ(VGE)は、2023年の欧州委員会の「修理する権利」法案の提案を歓迎しましたが、DIY修理に反対する彼らの主張はESAとよく似ています。彼らは “要求される品質と安全基準 “を確保するための認可の必要性を強調しています。さらに、彼らは “ビデオゲームメーカーとビデオゲーム開発者のIP “を懸念しています。
ESAが書面上また司法の証言で繰り返し述べる主張の一つは、次のようなものです。「DIY修理や独立系修理ショップが行うゲームコンソール修理の必要性は存在しません。なぜならゲームメーカーは『簡単で信頼性があり、手頃な価格の修理サービス』を既に提供しているからです。」というものです。素晴らしいですが、本当でしょうか?
メーカー認定の修理は簡単なのか?
実際のところ、答えは一つではありません。自分で修理を行うか、メーカーを通じて修理を行うかは、状況によって大きく異なります。必要な修理の種類やユーザー自身の修理経験レベル、デバイスを梱包して修理された返品を待つ忍耐力、郵送の利便性、修理にかかる予算といった状況に大きく依存します。

もちろん、一部のユーザーは手数料を支払い、コンソールを発送し、数週間ゲームを我慢し、修理されたデバイスが戻ってくるのが最も簡単と感じるかもしれません。また一部の人々は、地元の修理店にコンソールを持ち込む方が簡単だと感じるでしょう。またある人々は、修理の申請をして梱包し、郵送する手続きを面倒だと感じたり、修理金額が妥当でないと判断したり、単に自分の所有物を他人に触って欲しくない場合もあります。このような人々は、交換部品を注文して、必要なドライバーを準備し、自分でデバイスを開いて修理する方が好きかもしれません。修理する方法は人それぞれ異なります。
つまり、「簡単で楽」という概念は人によって異なります。後者を好む人々の市場が存在しなければ、iFixitは存在しなかったでしょう。私たちにとって、本当のチャレンジは、ユーザーにとって何が「簡単」かを、メーカーが決めようとしていることです。私個人としては、選択肢がある方が好きです。
プロの修理をもっと身近なものに
地元の修理店の存在は、DIY修理に慣れていない人々にとって、おすすめの選択肢の一つです。専門知識を持ち、見積もり価格を提供してくれたり、修理の所要時間を見積もってくれたり、プロの修理技術者と対面で話すのは魅力があります。また、修理を途中で変更/中断したい場合、壊れた自分のコンソールはどこにあるか明らかです。米国公正取引員会(FTC)も同じ考えで、独立系修理ショップはメーカーの認可を受けた正規修理店と同じ資格があるはずです。もしコンソールメーカーがこれに異議を唱えるなら、メーカー専属の修理ネットワークを構築することもできます。修理の選択肢が増えれば、皆にとって良いことです。
Microsoftは以前、コンソールのサービスを提供する実店舗が35の州で80以上の店舗がありました。現在、これらの店舗は存在せず、代わりに郵送モデルとBest Buy (大手家電量販店)との提携に依存しています。現時点では、Best Buyとの提携は20の州で提供されています。多くのコンソールメーカーは、メーカーが運営する対面修理型のオプションを提供していません。


修理オプションが不足すると、メーカー提供の顧客体験は限定されます。自社の技術テックたちに修理依頼してほしいなら、ユーザーたちがいる場所に彼らを配置しなければなりません。
公平を期すために、Microsoftは一部のモデル用スペアパーツを提供し、正規サービスプロバイダー(ASP)サービス拠点を拡大することで、修理問題を軽減することを約束しました。ただし、現時点で提供されているスペアパーツのうち、ゲームコンソールは含まれていません。また、”ASP拠点を拡大する”ということはおそらく、新しい店舗を修理エコシステムに追加することではありません。
正規サービスプロバイダー(ASP)は多くの場合、前から存在する独立系の修理ショップで、特定の修理を行うために「認可」され、メーカーから正規部品を直接購入できる特権を与えられています。つまり、新しいASPはコンソールを修理する場所を増やすことではありません。実際に、以前、ASPが修理のオプションを減らす要因となったことがあります。
“私たちは30000ものデバイスを修理してきました。そのうち、わずか5%以下のデバイスが正規修理代理店で修理可能と判断されたものでした。“
Jessa Jones, repair extraordinaire and founder of iPad Rehab
Appleが独立系修理ショップを含んだ修理プログラムを導入した際、Appleがこれらの代理店に課した厳格な制限によって、修理ショップが行える修理の種類が減る結果となりました。もしゲームメーカーがAppleのプログラムに倣い、正規の修理オプションを拡充するなら、結果としてサードパーティーの修理店が行う多くの修理を阻止することができます。修理する権利の流れに勝てないなら、権利をコントロールするやり方です。
メーカー認定の修理は信頼できるか?
私たちは、メーカーやロビイストがDIY修理を奨励しないことを知っています。彼らはDIY修理はレベルが低く、危険性が伴い、信頼性が低いとほのめかし、反対を正当化しています。メーカーの懸念は最初から誇張されていました。人々は何年もの間、怪我や(修復不能な)エラーなしにDIY修理を行ってきました。そしてAppleがセルフサービス修理プログラムを開始し(日本はサービス対象外)、MicrosoftがSurfaceのスペアパーツを販売し始めたことから、DIY修理がデバイスのパフォーマンス低下とユーザーの安全性に関する懸念は根拠が薄れています。

巨大メーカー(そのうちの一つはESAのメンバー)が、セルフリペアを受け入れ始めています。明らかに、メーカーは私たちが言い続けてきたことを認めてくれました。ユーザーに手順ごとにまとめられた修理ガイドと高品質の部品とツールへのアクセスを提供すれば、ユーザーはドライバーの先端をデバイス内部に突き刺すことはないと証明されています。iFixitでは、サイエンスという名の下に、バッテリーを故意に突き刺しますが。
それに、メーカーによる修理が常に信頼性があるわけではありません。ほとんどのコンソールメーカーは、デバイスの保証期間中は無料で郵送による修理を受け付けています。すべてが計画通りに進めば、ユーザー側の作業はとても簡単です。しかし、デバイスを遠方地域や海外に送ることにはリスクが伴います。輸送中の損傷の可能性や、郵送中にパッケージを紛失する可能性、または不正アクセス者が先にアクセスする可能性があります。
さらに、自分のコンソールが必ず返ってくる保証もありません。メーカーが修理をする価値がないと判断した場合、代わりに新しい交換用のデバイスを送り返すことがあります。ワシントン州上院議員のダーレク・スタンフォード氏が、こう語りました。「私のXboxのファンが壊れた時、残された選択肢はたった一つ、Microsoftに郵送することでした。数週間待った上に、費用もかかり、最終的に戻ってきたユニットは、私のコンソールとは異なるものでした。」これは信頼性よりも、不確実性のように聞こえます。
光学ドライブを修理するために、数週間(またはそれ以上、バックログがどれだけあるかによる)待つべきではありません。自分のコンソールが戻ってくるか、代替品が提供されるか心配する必要もありません。メーカーが修理できる設計にしていれば、自分で修理できたでしょう。自分のコンソールが手元に戻らないことを受け入れる必要はありません。もっと利便性のある選択肢を持つべきです。
OEM修理には期限がある
リペアビリティは、修理が提供される場所や誰が修理を行うかだけでなく、メーカーが何の修理を行うかも関連しています。契約上の紐付けにより、正規サービス代理店での修理が制限されたり、OEMが修理ではなくコンソールの完全交換を選択することもあります。となると、メーカー社内の修理オプションはどの程度包括的なのでしょうか?
ESAは、メーカーによる修理はコンソールを長持ちさせるための最良オプションであるという確信を持っているようです。“ビデオゲームコンソールは何年間にもわたり使用され、世代を超えて所有されています。”とESAのポリシー表明に明記されています。ごもっともです!しかし、納得し難しい部分が次のようにあります。”コンソールの寿命サイクルが長く続く可能性は、メーカーが修理を行う場合です。旧型モデルのコンソールは依然と高い人気で、オンラインマーケットプレイスで入手できます。”

皮肉なのは、”世代を通じて”コンソールの価値を証明するとき、ESAを代表するゲームメーカーが前世代ゲームの修理を優先していないという点です。このブログ執筆時での公開情報によると、次のような状況があります。アメリカで提供されているMicrosoftの修理サービスにはXbox OneまたはOne S/Xが含まれていません。SonyはPS4以前のモデルの修理を提供していない模様で、Nintendoは3DSとSwitchファミリーの携帯型コンソールに対する修理に限定されています。(ただし、サポート対象外のデバイスに対しては他のオプションをユーザーに提供しています)
どのメーカーも、自分たちが製造した全てのデバイスを永遠にサポートすることはできません。それがどれだけ厳しいかを知っています。しかし、独立した修理ショップは毎日古いコンソールを修理しており(必要な交換部品が手に入る限り)、ESAがコンソールの寿命について述べる内容が誠実であるか疑念を抱きます。
ESAが言う”旧モデルのコンソール”は、独立した修理ショップの復旧作業の結果で、今でも人気があり、プレイ可能で価値があります。回路図が手に入らず、コンソールの製造が中止される前に純正部品を入手できない場合、修復作業は難しくなります。発売から25年後にもプレイ可能なXbox 360やPS3などのコンソールは、入念にメンテナンスされたGame Boy同様に、製造メーカーの修理制限にもかかわらずプレイ可能です。それは修理保証の短期間で、メーカーが修理を進めてきたからではありません。ユーザーや街の修理店が、自分たちで修理をしてきたからです。
結論として、自分たちのゲームコンソールをできるだけ長く使い続けたいなら、単純にメーカーだけに修理を頼ることはできません。メーカーにはそれを可能にするキャパシティが不足しています。新しい製品が登場すると、古い製品へのサポートを段階的に終了させなければなりません。しかし、独立した修理ショップやDIY修理のオプションを抑制することは必要のないことです。代わりに、製品サポートを終了するということは、高品質な修理を提供する広範なサポートが求められます。さもなければ、長寿命のビンテージコンソールが、時期早々に電子廃棄物の墓に送られることになります。
結論として、自分たちのゲームコンソールをできるだけ長く使い続けたいなら、私たちは単純にメーカーだけに、修理を頼ることはできません。
もしゲームメーカーが言葉の通り、寿命の長いコンソールを目指すのであれば、DIY愛好者や独立系修理ショップがメーカーの基準に近い修理を行えるよう情報提供をして支援するべきです。部品製造が中止される前にスペアパーツの購入を奨励すべきです。さらに、彼らは市場に出回っているサードパーティの交換部品を検証し、レビューし、サポート外のコンソール向けに最適なものを推奨することもできます。
修理する権利の法律は、そこまで多くを要求しているわけではありません。単にDIY、独立系の修理ショップ、OEM提供の修理を公正に競わせるものです。私たちの理想は、修理が必要なユーザーが自分で実行可能で便利なオプションが提供されることです。それがコンソールを次世代にわたって稼働させ続ける方法です。
メーカー提供の修理価格は適切か?
メーカー提供のコンソール修理が手頃な価格かどうかは、発生するタイミングに依存します。コンソールがまだ保証期間内であれば、修理を無料で行うことができる可能性が高く、素晴らしいことです!ただし、コンソールの標準的な保証期間は約1年であることが多く、延長保証には追加料金がかかることがあります。
保証期間外に、コンソールが故障した場合、修理費用は高額になることがあります。参考までに、Microsoftの保証期間外の修理費用一覧を紹介します。ネタバレ注意:高額です。私たちをクレージと呼んでも構いません、しかしSeries Sの30,748円やSeries Xの46,200円という料金は手頃な価格には聞こえません。Sの修理価格は販売価格の約66%、Xは約60%です。つまり、大部分のユーザーが支払いの意思決定する購入価格の18%から35%を大幅に超えています。特に、前Xboxモデル(Xbox One)がXbox Series X/Sに置き換えられるまでの期間が7年間あった事を考慮すると、この料金は特に高額に感じます。製品が発売されてすぐに購入した場合、保証期間外は最大6年間にもなります。
リペアビリティを定量化する
ESAの主張は、”修理は簡単で信頼性があり、手頃な価格”という言葉で終わりません。彼らは、修理に反対する議論にiFixitのリペアビリティスコアを取り上げました。2023年初頭、修理する権利関連案を検討するカナダの委員会の前で、ESA代表者の一人が”ビデオゲームコンソールは、iFixitのようなウェブサイトで常にリペアビリティが高く評価されています。”と述べました。彼らの意見は、コンソールが修理可能であるため、なぜ修理業者がメーカーにより多くのリソースを求めるのか理解できないということのようです。
修理をメーカーに任せるのが最善だと主張するESAの主張に反論するため、何千語もの言葉に変えて訴えてきた労力を考えると、なぜ上のような意見が出るのか不可解です。彼らは、私たち一般ユーザーがコンソールのDIY修理をすると、明らかに成功しないと主張してきました。それから、実際にコンソールの修理は非常に簡単で、なぜメーカーに修理情報を求めるのか理解できないと主張しました。ESAは一般のDIY修理を信頼しているのか、それともしていないのか?彼らのツールや方法は、DIY修理をより確実なものにするのか、しないのか?しないのであれば、なぜユーザーを第3の修理システムではなく、メーカーの修理システムに誘導することにこだわるのでしょうか?
iFixitのリペアビリティ評価に関しては、多くのゲームコンソールに並以上のスコアを与えてきました。現代ゲームコンソールには、物理的に交換が簡単な部品がたくさんあります。しかし、いくつかの修理が可能でも、ソフトウェアによってブロックされるということが頻繁に起こっています。せっかく部品を交換できても、最終的に機能しなければ意味がありません。

iFixitが評価するリペアビリティは、ひとつの数字にまとめる作業は難しいのが現状です。コンソールのスコアを始めた当初は、ソフトウェアが修理をブロックすることがありませんでした。しかし、これが一般的になってくると、修理に致命的な打撃を与えることを反映させるため、スコアに重いペナルティを課すことにしました。
現在でも、あるコンソールはソフトウェアブロックでスコアが減点されたにもかかわらず、リペアビリティの総合スコアが平均レベルを維持しているものもあります。さらに複雑なことに、ソフトウェアは時間とともに変化します。全てのゲームコンソールに対してスコア修正をテストしていたら、気が狂いそうだし、他の仕事ができません。つまり、このような障害をもってスコア算出する方程式は、完璧とは言えなくなりました。断言したいのは、iFixitのリペアビリティスコアは、ソフトウェアロックを推奨しているものではありません。
ソフトウェアのブロック: アンチ修理が手にした銀の弾丸
ソフトウェアブロックとは具体的に何でしょう?コンソールには海賊版の横行を抑制するために、光学ディスクドライブの交換を防ぐ技術的な保護措置(TPM)が加えられています。TPMとは?つまり、保護されたコンテンツへのアクセスやコピーを防ぐための包括的な方法を指します。これは、ストリーミングサービスへのアクセスにパスワードを必要としたり、デジタルライブラリの本に閲覧期限を設定したり、暗号化する場合もあります。通常、ゲームコンソールでは、部品の交換を防ぐことを意味します。
そのような保護措置の1つはマイクロコントローラ(時々「信頼性プラットフォームモジュール」とも呼ばれることがありますが、混乱を避けるために「TPM」の略ではなく)です。コンソールの光学ドライブ設計の主目的は、海賊行為を試みる輩たちが工場出荷時の純正部品を改造部品に置換し、海賊版ディスクを生成する行為を阻止することです。この方法は、かなり効果を上げていますが、一方でドライブの修理を止めるだけでなく、修理全体を阻害する結果となっています。
でも、どうやって?手元のXbox Oneの壊れた光学ドライブを交換するために、機能するOEM提供の純正光学ドライブを用意しても、これらの部品を交換できません。その小さなマイクロコントローラは、光学ドライブと基板をデジタル処理でペアリングされています。単なるパーツ間の交換では機能しません。光学ドライブとそれに対応する基板両方を購入する必要があります。これは簡単な作業ではなく、安い部品でもありません。
ポイントは、モジュールで、接着剤があまり使用されておらず、解体のし容易さで魅力的であるコンソールの評価で、iFixitのリペアビリティ採点基準は三次的に発生する事項を考慮していませんでした。修理を妨げる要因はたくさんあります。壊れた部品、入手困難なツール(物理的およびデジタル)、修理情報の欠如などがあります。部品、ツール、および修理情報への公平なアクセスの重要性について無知のふりをしながら、ESAは修理コミュニティや修理団体の顧客両方に与える利益に対して、明確に反対の立場を取っています。
違法コピー行為: 使い勝手の良いブギーマン
メディア業界の違法コピーの行為に対する戦いは絶え間ない拡張競争です。手痛い海賊行為を防ぐことは、ゲーム業界にとって優先順位の高い事項ですが、反海賊戦略が複雑化することにより、一般ユーザーによる単純な修理が既に被害を受けています。修理する権利の審議で、ESAは広聴委員会の場で反対意見として、比喩的な大砲を構える傾向があります。とりわけ、海賊行為の防止は”使える武器”となります。

もちろん、開発者、パブリッシャー、および製造業者はすべて、潜在的に損失をもたらすものは抑制されます。しかし、OEM(正規メーカー)が海賊行為を防ぐために取っている対策は、数多くのDIY修理を不可能にしています。今年初めに、私たちは世界中の91の修理店を対象に調査しました。回答者の66%以上が、ペアリングされた光学ドライブのために修理できない古いコンソールの在庫を抱えていると回答しました。一部の回答では、この問題によって、20個以上の修理できない大型コンソールを保管していると報告しました。
このようなコンソールは、永遠にメーカーのサポート対象外である事を考えると、将来はとても暗いものに見えます。修理できないコンソールが増え続け、倉庫に山積みされるでしょう。唯一の実用的な用途は、スペアパーツを収穫することですが、ペアリング対象外の部品に限ります。
コンソールメーカーによる海賊行為を防ぐための措置は、修理エコシステムに深刻な負の影響を及ぼしています。OEMは立法機関で、この措置はゲームによる利益を生み出し、”創造のインセンティブ”を健全に保つために必要であると主張するでしょうが、特定の研究はその主張にどれだけ真実味があるか疑問視しています。2015年にEUの依頼で実施された研究によると、海賊行為は実際にはビデオゲーム販売数を増加させる可能性があると示唆しています。PC Gamerが行なった調査では、多くの海賊は、海賊行為を行った後、合法的にゲームを購入していることが判りました。したがって、この問題は少なくとも議論の余地があると言えます。
“ゲームの場合、違法なオンライン取引が売上高に与える推定効果はプラスで、これは違法な消費が合法的な消費の増加につながることを示唆している。違法なダウンロードやストリーミングがゲームの売上に与えるプラス効果は、業界が違法ユーザーを有料ユーザーに変えることに成功していると説明できるかもしれない。”(iFixit抜粋)
欧州における著作権保護コンテンツの変位率の推定 – 最終報告書
正直言って、違法コピーがゲームにどう影響するかについて些細な議論をすることは、私たちにとっては無関係です。リペアビリティこそが私たちの焦点で、ゲームメーカーが海賊行為と戦う際でも修理を保護できる可能性があり、保護されるべきだと信じています。部品のペアリングは修理を制限するため、廃止されるか、修正が必要です。
メーカーが顧客とコンソールの長い耐久性を気にかけているのであれば、違法コピーに対処する、欠陥だらけの部品ペアリングという「解決策」で落ち着くべきではありません。通常の修理をだめにしてしまう解決策は、単純に理にかなっていません。本当に代替案がないのでしょうか?新しいドライブをマザーボードとペアリングするソフトウェアツールを導入ないのでしょうか?そんなことはありえません。
修理は答えです。敵ではありません。
ゲームコンコールの数は他の電子機器と同様に、混沌としています。ユーザーは修理の必要から逃れることはできません。ESAは、メーカーとその修理パートナーシップでユーザーのニーズをカバーしていると信じさせようとしますが、それほど簡単ではありません。結局のところ、修理を妨げる諸問題に加えて、公正な競争と透明性が鍵となります。それこそが、消費者が求める便利な修理サービスと適切な価格設定を実現できます。しかしながら、ESAは現状の修理サービスに問題がないかのように振る舞っています。
「簡単で信頼性があり、手頃な価格」というESAの呪文を好きなだけ推しても構いません。彼らは海賊行為に対する不安を煽ることもできます。しかし、保証期間が切れた数年間後にコンソールが壊れてしまうと、残された選択肢は暗いものです。多くの人々は、高額な修理代、新しいコンソールの購入、またはこのオプションが不可能な場合、コンソールとゲームを破棄するという選択肢に直面します。ある人々は幻滅するでしょう。また他の一部は、競合メーカーや自分自身で修理する代替手段を考え始めるでしょう。この場合、修理ガイドはその道しるべとなります。同時に修理ガイドを通じて、メーカーが意図的に設計した修理しにくい設計に気づくきっかけとなります。
私に予知能力はありませんが、メーカーに修理に対する柔軟性が欠けている将来を見ることができます。ユーザーからの信頼や、メーカーが懸命に築いてきたブランドロイヤリティを台無しにする可能性があります。コンソールはゲーム文化の中で特別な場所を占めます。もし修理が非常に高価で手間がかかれば、人々が所有することを諦めても驚きません。
コンピューターはよりカスタマイズ可能でモジュラーで修理可能な体験を提供します。Steam DeckはDIY修理に対する強力なサポート体制を提供し、Switchのような携帯用コンソールに代わる小型コンソールを登場させ、従来のコンソールのようにスマートテレビに接続できます。次世代コンソールの登場が近づき始めると、現在のコンソールを修理したり、交換作業に数万円を費やしてきたユーザーにとって、新製品にアップデートするという代替手段が魅力的に見えるかもしれません。そして、その理由を推測するのは難しくありません。
ゲームコンソールを修理可能にするようメーカーに求めて、私たちの生活がより良いものとなるよう「修理する権利」法案を支援してください。
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