Appleの方向転換: テックジャイアント企業がついに、カリフォルニアの修理する権利を支持!
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Appleの方向転換: テックジャイアント企業がついに、カリフォルニアの修理する権利を支持!

修理する権利(Right to Repair)運動における重要なマイルストーンとなる、驚くべきニュースがあります。前代未聞の動きとして、Appleはカリフォルニア州におけるスーザン・タラマンテス・エッグマン上院議員の「修理する権利」法案を正式に支持しました。この支持表明は、過去数年にわたるAppleや他メーカーからの激しいロビーといった抵抗活動の結果、法案が水面下で止まっていたことによるものです。

2023年の新しい動きは?

SB 244として知られる今年の法案は、カリフォルニア州の保証法を強化し、州住民が幅広い家電製品や電化製品を対象とした修理する権利を確保するものです。この法案は、消費者と第三者修理業者の双方が製品を修理するために必要な部品、工具、修理診断の提供をメーカーに義務付け、消費者にとって修理費をより安く、地球にとってより良い競争力のある修理市場を開きます。

iFixitのカイル ウィーンズ最高経営責任者(CEO)は、「Appleがカリフォルニア州で『修理する権利』法案を支持したことは、消費者の権利にとって流れを変える瞬間だ。テック製品の修理を独占してきたベルリンの壁、積み上げられた一つづつのレンガが崩れ始めているように感じる。」とコメントしています。

カリフォルニア州の法案は、ミネソタ州やニューヨーク州で可決された修理する権利よりもさらに踏み込んでおり、部品やアップデートの入手可能期間を定めています。50ドルから99.99ドルの製品については、製品の最終製造日から3年間に渡り、部品、工具、修理マニュアルをカリフォルニア州内で提供しなければなりません。99.99ドル以上の製品については、7年間の提供を義務付けています。これらの条件は、メーカーが指定する製品の保証期間が終了しても、修理サポートを停止できないことを保証するものです。

また、この法案には異なる執行メカニズムがあります。カリフォルニア州の司法長官のみの決定で執行するのではなく、各市、郡、もしくは州が高等裁判所に訴訟を起こすことができます。この場合、規約に違反したメーカーには罰金(1回目の違反は1日1000ドル、2回目は1日2000ドル、3回目以降は1日5000ドル)が科されます。

SB244は、カリフォルニア州で提出された修理する権利法案の中で最も進展していました。エッグマン上院議員は2018年以来、家電や電子製品、医療機器に焦点を当てた法案を含め、この問題に取り組んできました。これらの法案は、今年に至るまで、立法府をまたぐことはありませんでした。ロサンゼルスタイムズ 編集委員会, ロサンゼルス郡監督委員会、ロサンゼルス統一学区の支持を得たこの法案は、上院を38対0で通過し、下院を無投票で通過しました。

来週、下院の予算歳出委員会で最終公聴会が開かれます。同委員会を通過すれば、法案は議会に提出され、ニューソム知事の署名に至るまでの最後の立法ハードルとなります。(ニューヨーク州と異なり、カリフォルニア州知事は議会通過した法案を逆転させたり、大きく修正することはできません。)

Appleの心変わり

Appleが修理する権利を支持表明したことは、消費者の権利と持続可能性にとって大きな勝利と言えます。より競争的な市場への道を開き、消費者が自分の電子製品を好きな修理店やサービス・プロバイダーに修理してもらう自由を与えます。

エッグマン上院議員 (中央、グリーンのジャケット), CALPIRGディレクター ジェン イグストーム (右),そして「カリフォルニアの電子機器廃棄物5秒分の山」グループをまとめるCalifornians Against Waste Policyのアソシエイト、リブ・バトラー。

Appleは、この環境保護に繋がる法案に反対してきた長い実績があり、ネブラスカ州の議員に対して、修理する権利法は同州を “ハッカーのメッカ “に変えるだろうとまで言っています。修理する権利は、修理費用をより手頃にするだけでなく、消費者が自分のデバイスを交換することを推奨し、カリフォルニア州住民が、一人当たり毎秒25kgの電子廃棄物を廃棄している現状を打破することにつながります。

iFixit サステナビリティ担当ディレクターのリズ・チェンバレンは、「単に修理のための部品や工具を提供するだけでなく、消費者が環境に配慮した選択を提供することが重要です。修理する権利は、巨大テック企業の裏庭で勢いを増しています。ついに、Appleが正面玄関を開ける時が来たのです。」と話します。

修理する権利は加勢しつつある

昨年、米国3州で「修理する権利」に関する法案が可決されました。そのうちの一つ、ニューヨーク州は家電製品を対象とする法案を、コロラド州は電動車椅子と農機機を対象とする法案を、ミネソタ州は電子機器と家電製品を対象とする法案を可決しました。

一方欧州では、2019年に可決された「修理する権利」エコデザイン規制の拡大に向けて議員たちが努力を続けています。これは現在、家電製品対象、近い将来にスマートフォンとタブレットにも適用されます。また欧州連合の別の法律では、2027年までにあらゆる種類のポータブル製品に対して、ユーザーが自分でバッテリーを交換できる設計を導入することになります。

メーカーがこの勢いに抗い続けることは不可能であるということが、Appleによる支持表明をもって証明しています。

次に待っているのは?

アップルの心変わりは大きな勝利をもたらすでしょう。しかし、戦いはまだ終わっていません。特に部品のペアリング、キャリブレーション(再調整)ツールへのアクセス、インターネット接続のないエリアで行う修理ツールの機能といった問題が課題として残っています。

ミネソタ州やニューヨーク州の法案と同様に、カリフォルニア州の法案もビデオゲームコンソールは除外されています。とりわけこの問題は、カリフォルニア州を含め他の州で闘い続けなければならないものです。

参加しましょう

カリフォルニアにお住まいの方は、あなたのサポートが大きな違いを生み出します。california.repair.orgで郵便番号を入力するだけで、同じエリアで活動する代表者が表示されます。

これは「修理する権利」を待ち望む、すべての人々にとってエキサイティングなニュースです。この機会を利用して、カリフォルニア州だけでなく、全米、そして世界に変化をもたらしましょう。