スマートフォンの中にテーブルクロスがあると知っていましたか?仏語翻訳者たちは知っています!
コミュニティ

スマートフォンの中にテーブルクロスがあると知っていましたか?仏語翻訳者たちは知っています!

私たちは修理を愛する人たちが集うグローバル・コミュニティで話されている多くの言語を祝福しています。

iFixitでドイツ語翻訳の仕事を1年近くやっていますが、いまだにネジ頭の種類によっては正しい訳語を調べなければなりません。Wikipediaのページをブックマークしているので、英単語を検索し、ネジ頭の画像を記憶し、ドイツ語版の記事に切り替えて画像を探せば、見つかります。「hex screw:六角ネジ」はドイツ語では「Inbusschraube」と訳します。

今日、2月21日は国際母国語デーです。iFixitの目標は、世界中の人々にどんなものでも修理する方法を教えることです。電子機器の内側を初めて開くとき、多くの人が不安を感じたり、疑問が生じることが多くあります。その上、あなたが話せない、あるいは半分程度しか理解できない言語のガイドを参照しながら修理すると、修理成功の可能性は低くなります。iFixitで公開している修理ガイドやWikiページを翻訳することは、私たちのミッションにとって非常に重要です。そして翻訳する私にとっては、”六角ネジ “や “サーマルペースト “などの単語を覚えることが大切です。学校で英語を勉強していた時には、想像もしていなかったことです。

学びに終わりはないとはよく言われる言葉です。とりわけ技術用語に関しては、確かにその通りです。

ノート中央に線を引いて、外国語と日本語を並べながら単語を必死に覚えたことがありますよね。あるいは、フラッシュカード(私の学生時代は紙のカードでしたが、今はフラッシュカードのアプリ充実しています)を使った学習方法もあります。iFixitの翻訳を始めると、数分おきに専門用語を調べることになるのは事実ですが、実は「コンデンサ」や「ハンダ付け」といった単語が一番難しいわけではありません。本当の難しさは、ちょっとしたニュアンスや、翻訳言語を特別なものにし、翻訳文を楽しく味付けさせるための特異性にあります。

私たち全員がなぜ英語を話せないのか、それは学ぶのが難しいからではありません。現在世界で話されている7,000以上の言語には、その言語でしか表現できないことがあるからです。どの言語にも美しさがあり、規則性があり、個性があります。また、「スクリュードライバー」のような一見わかりやすい言葉でも、他の言語に当てはめてみると、そっくりそのまま同じ意味で使われることはありません。翻訳とは、単に言葉を調べて、文法的に正しい形に並べることではありません。翻訳とはメッセージを理解し、翻訳する言語を理解し、その言語でメッセージを再創造することなのです。コミュニケーションに完璧がないように、翻訳にも完璧はありません。そこが面白いところです。

Crowd of FixFest 2022 attendees
グローバルコミュニティ: 2022年、ブリュッセルで行われたFixfest

良い例を教えましょう。私はいつも、ドイツ語で「コミュニティ」の良い訳語を見つけるのに苦労しています。辞書に載っている単語は「Gemeinschaft」ですが、これはiFixitのものと若干噛み合いません。「コミュニティ」とは、共通言語や共通の趣味など、ある共通の性質によって集められた人々の集団のことで、kここで言う「Gemeinschaft」とは、同居人(Wohngemeinschaft)や村民(Dorfgemeinschaft)、同じ宗教団体(Religionsgemeinschaft)など、より正式な基準によってグループ化されている人々のことを指します。この2つの言葉は、まったく同じ意味を持たないし、同じ感覚でもありません。そのため、普段は「コミュニティ」を「Community」と “訳す “だけです。これは私だけでなく、あるドイツ語の辞書でも同様に扱っているものがあります。

私たちのiFixitコミュニティは世界中に広がっています。今のところ、2023年 修理の誓約が立っていない大陸は南極大陸だけです(だからといって、そこに駐在している研究者たちがiFixitの修理ガイドを読んでいないわけではありません。-もしあなたがその一人だったらコメントを残してください!)。修理の誓約キャンペーンに参加しているユーザーの居住国マップと、そこで使用されている言語を数えようとしましたが、あまりの多さに断念せざるを得ませんでした。現在iFixitが対応している12カ国語は、iFixitコミュニティのメンバーたちが話す言語には到底及びません。しかしこれは始まりに過ぎず、すでにウェールズ語を含む合計39の言語へのユーザー・インターフェースの翻訳に取り組んでいます。(真面目な話、そうなんです)。

世界中の人々がiFixitの修理の誓約に参加しています。修理は私たちをひとつにするように、翻訳も私たちをひとつにしてくれます。 

実際、私たちはiFixitの多言語化をとても楽しんでいます!なぜなら、2つの言語が出会うと、面白い化学反応が起こるからです。例えば、先ほどの「六角 ネジ」。この2つの言葉を個別に訳すと、ドイツ語で「Verwünschungsschraube」、つまり誰かを呪う(六角のHexが呪うのCurseに変身)ために使用するネジと変わります。今度、特に頑固な接着剤を切開しようとするときには、この言葉を使ってみるのも面白いかもしれません。また「リボンケーブル」はフランス語で「nappe」と言いますが、その一方で「テーブルクロス」という意味も持っています。辞書を引くだけで、魔法の世界が広がります。

こんな無邪気な見た目のネジに魔法がかかっているなんて誰が想像したでしょう
(Wikimedia Commons)

また、2つの言語で似たようなサウンドを持ちながら、まったく異なる意味を持つ言葉もあります。ちょっとした逸話を紹介しましょう。オランダ語とドイツ語がよく似ていることはご存じでしょうか。実際、ドイツ語と英語を話せる人であれば、オランダ語での会話をおおよそ理解できるでしょう。数ヶ月前、私はオランダ語で「翻訳する」を意味する “vertalen “という言葉に出会いました。ドイツ語の「verteilen」(「配布する/配る」という意味)とよく似ています。私はオランダ語の翻訳スタッフであるトーマスに、このオランダ語の背景にある意味の良さを伝えました。その意味は「誰もが利用できるように、情報を共有すること。ある場所から別の場所に何かを移すという意味の “übersetzen “とは、真逆のコンセプト。」と。しかし残念なことに、トーマスによると”vertalen “は “taal”(オランダ語で”言語”という意味)から派生した言葉で、ある言語のものを別の言語に置き換えると言う意味であることが判明しました。それでも、言葉の背景にある意味を思い巡らす良い機会でした。

それでも、私はこのvertalenという言葉のもつ意味にこだわっています。なぜなら、知識を共有することこそ、私たちがiFixitで行っていることだからです。修理ガイドの翻訳を重視することで、さらに推し進めることができます。世界共通語である英語を話せないからといって、誰も不利になるべきではありません。どの言語もユニークなコンセプトや視点をもたらしてくれます。一つの言語が失われるたびに、人類は貴重なものをなくしています。ですから、あなたの母国語が何であれ、それを大切にし、誇りに思いましょう。国際母国語デーだけでなく、毎日、生涯にわたってその美しさを覚えましょう。

iFixitでは常に日本語翻訳ボランティアを募集しています。修理ガイドwikiの翻訳するか、ユーザーインターフェースの翻訳にご協力ください。