下のテキストはM2 MacBook Proの分解ビデオから抜粋したものです。そのため、ビデオ台詞が完全に反映されていない部分があります。
はじめに
Appleが待ち望んでいたM2チップがついに登場しましたが、そのM2を搭載した13インチ MacBook Proの新発売は、残念ながら誰も(本当に誰一人として) 興奮していないようです。
レビューでは皆が口を揃えて、バッテリーの耐久性がとても高く、良いノートパソコンだという評価ですが、次のような意見も挙げられています。
- ポート数が十分でない。
- ディスプレイが高リフレッシュレートに対応していない。
- あと数週間で発売のアップデートされたMacBook Airの影に隠れて、この新モデルは高額すぎではないか。
このマシンは、ロジックボードがアップグレードされた2020年モデルと概ね同じと推測できますが、まずは分解してみないと分かりません!
エクステリア
この新モデルの筐体は、底面に印字された型番に至るまで全く同じです。背面の小さなEMC番号を除けば、外装の違いはひとつも見当たりません。

底面カバーとネジは、カバーを取り外すための手順と同じです。つまり作業は、必要以上に難しいということです。
インテリア
ここからが本当に面白いところです。この2つのロジックボードの写真を比較してみると、いくつかのチップと小さなパーツに変更が加えられています。それ以外を除けば、ロジックボードに付いているケーブル、接地ピン、ネジやスタンドオフなど、全く同じです。デバイス内部全体を比較してみると、ロジックボードを除いて、どれも同じです。

特に目立った違いは、M1のヒートシンクは角がラウンド状であるのに対して、M2のヒートシンクは角がスクエアの形状をしています。違いは以上です。これだけ聞くと、私たちは本気で違いを探そうとしているのかという思いがよぎるかもしれませんが、本当にこれだけです。
この時点で、Appleは初めてアップグレード可能なノートパソコンを製造しようとしたのではないかと考えます。となると、Framework以外のメーカーでアップグレード可能なのはAppleだけです。
まだご存知でない方のために、Framework社は世界初アップグレード可能なノートPC用マザーボードの生産を開始し、今年後半にリリースする予定です。ということは、FrameworkはAppleに先を越されたということでしょうか?
早速点検しなければなりませんが、まずロジックボードをケースから取り出す必要があります。
ロジックボードの解体と置換
まず、トラックパッドとバッテリーをロジックボードから外し、次に残りのパーツを外します。しかし、この作業はとても難しく、またケーブルも大変デリケートです。
すべてのケーブルが外れたら、M2ロジックボードの取り出しに進みます。
M1モデルのケースにM2のロジックボードボードがフィットするか…と試みたところ、バッチリです!それなら、デバイスの電源が入るかどうかもテストしてみましょう。
最終的には起動できますが…内蔵されたパーツを検出できません。
トラックパッドの不具合とテスト結果
ケーブルのチェックと再接続を何度も繰り返し、Touch IDセンサーをデバイス間で交換するなど、十数回のテストを行いましたが、ついに私たちはお手上げ状態であることを認め、Asahi Linux ProjectのHector Martin氏に連絡を取りました。
Martin氏によると、M2トラックパッドはいくつかの処理をSoCにオフロードしているようです。これがシリアライゼーションであるとは断言できませんが、現状を考慮しても、目的は同じです。つまり、トラックパッドをM2と互換性のあるものに変えない限り、ロジックボードの完全アップグレードはブロックされます。
外付けのマウスやキーボードを使っても問題なく動作しますが、何処へでもキーボードとマウスを引きずって持ち歩かなければならないとしたら、機能的なノートパソコンとは言えません。そこは重要なポイントでしょう。

私たちのテストでは、一部またはすべての機能が無効になるコンポーネントは、トラックパッド、キーボード、およびTouchIDセンサーであることがわかりました。Touch IDセンサーが機能しなくなるのは理解できるのですが、トラックパッドとキーボードを無効にする判断は、たとえそれが意図的であるとしても謎です。
この件に関しては、ポジティブな面もあるのは確かです。将来、Appleがこの新モデル、そしておそらくM1モデルも含めてAppleのセルフサービス修理プログラムに追加するのではないかと想定しています。つまり、あなたのデバイスもアップグレードして修理できる可能性があることを意味します。将来、M1モデルをM2にアップグレードできる日が来るのでしょうか?おそらく、そんなことはないでしょうが、その答えは誰にもわかりません!
パーツは明らかに相互互換性がありますが、ここでも再び、ソフトウェアの障壁によって修理や交換が妨害されようとしているように見えます。
Asahiチームの最近の調査結果によると、互換性の欠如はわざと設計上になされた選択ではないようですが、これらのコンポーネントを相互に繋げるためのドライバーのアップデートがないため、世代間の相互互換性は保たれないことになります。
SSDのパフォーマンス
ハードウェアに関する最後の注意点として、さまざまなレビュアーからベースモデルのM2では読み取り/書き込みの速度が遅いというコメントがありました。M1では128GBのSSDチップを2つ使って負荷を分散させていたのに対し、基板上の256GBのSSDチップ1つが全作業を行うためであろうとその原因を絞り込んでいます。
SSDチップを2つ搭載することで、システムの読み書きが同時に行われるため、最大で2倍の速度で稼働できます。これは読み取り/書き込みのワークロードを複数のドライブに分散させるRAID 0セットアップに似ています。
まとめ
Appleが多くの古いパーツを再利用するのは思い切った事のように見えるかもしれませんが、正直なところ、もし私たちが熾烈な消費社会が当たり前でなかった以前に住んでいるとすれば、大いに納得できるでしょう。パンデミックによって、サプライチェーンは欠陥を露呈し、チップ不足を招き、最終的にはこのような「変わった」決断へと至りました。
私たちが懸念しているのは、長い時間をかけた後、最初のアップグレード可能なデバイスを導入できた、ここぞというチャンスをAppleが逃したことです。さらに言えば、巨大テクノロジー企業であるAppleは、リペアビリティと環境に優しいデザインを推し進めて、業界全体を牽引する機会を逃してしまったのです。
翻訳: Midori Doi
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