回路とハンダと黒魔術: 基板修理スクール、パート1
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回路とハンダと黒魔術: 基板修理スクール、パート1

厄介な修理やDIYが中途半端に上手くいっている時、世界がもっと見えてくる気がする瞬間があります。モノの仕組みや組み合わせ、システムがどのように機能しているのか、多くの人が知らない世界を垣間見ることができます。そんな時は力を与えられ、あなたの顔に笑顔が沸き起こります。ひょっとすると、行き着く先は節約にもなるかもしれません。

先月、一粒の塩よりも小さいマイクロチップを顕微鏡で眺めるという貴重な体験をしました。左手に持ったノズルから385℃の熱風を当てると、チップは突然動き出し、溶けたばかりの64個の微細なハンダの玉の上に収まりました。もう片方の手に持ったピンセットの先で、これを表面から浮かせます。これで、iPhone 6の充電用コントロールチップを交換したことになります。数分後、修理したばかりの基板にスクリーン、バッテリー、充電ポートを繋いでみました。作業は成功です。

Using a Tristar Tester device to confirm a board is working
Tristar Tester を使えば、充電チップ交換が成功したかを確認できます。

Jessa Jones氏主催の1週間にわたるマイクロソルダリングと基板修理のクラスで、iPhoneの基板に搭載されたTristarチップを交換する作業は、決して難易度の高いものとは言えません。しかしiPhoneの基板を修理することで、これは巨大メーカーだけができる修理ではないと気づきました。私自身も、同じ作業ができたからです。

これは、巨大企業だけができる修理ではありません。私自身も同じ作業ができたからです。

スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、あらゆるガジェットの内部に搭載されているロジックボード(基板)は、格子状に流れる電気経路です。電気回路が上手く流れない場合、どこを修復するのか見つけて修理すれば、元の状態に戻すことができます。最後に電気回路について学んだのは中学1年時のScience Olympiadである筆者でさえ、修理することができます。しかし、、すべてのスマートフォンを修理できるわけではありません。また、すべての人に割いた労力や時間が報われるわけでもありません。しかし、私たち一人一人が修理を始めれば、今よりももっと多くのものが直せるはずです。

以下は、「基板スクール」での1週間の日記(全3回)のうちの第1回目です。学習には繰り返しと逆戻りの両方があるため、時系列にはなっていません。この記事は、スマートフォン内部が故障する原因とその診断方法について詳しく説明します。次回は、その故障を修理する仕事について、その次は、マイクロソルダリングと基板修理のビジネス、そして背景の政治について掘り下げていきます。

エンジニアではなく医師になったつもりで考えましょう

iPhone board with a chip removed, and a fingernail for scale
爪よりも小さいチップを外したiPhoneのボード。側面がシルバーに塗られたこれらの部品は、故障の可能性があり、修理が必要な部品です。

iPad Rehabオフィス内部は、間違いなく、その町の人口よりも多くの回路基板が置かれています。ここはNew York 州北部のロチェスターから車で20分程のところにあるHoneoye Fallsです。人口2,800人、幹線道路が5本、そして薬局チェーン店 Walgreensが1つあります。バッファローから高速道路で1時間半、2月上旬のすっかり落葉した木々の間を抜けると、そこはどんよりとした灰色の町でした。

この基板スクールに参加する他の8人のほとんどは、ジョージア、ウィスコンシン、ペンシルバニア、ノースキャロライナから、ロチェスターの1人を除いて飛行機でやってきました。そのうち3人は、すでにスクリーンやバッテリーなど交換する「パーツレベル」の仕事をしていて、さらに深い修理やデータ復旧を行いたいと考えています。他の3人は軍関係者で、刑事事件に巻き込まれたスマートフォンから証拠品を回収する仕事をしています。残りの2人は、フルタイムでマイクロソルダリングの修理ビジネスをするつもりはないものの、副業としての可能性を考えています。そして他の参加者たちの自己紹介を聞いて、なぜ参加申し込みをしてしまったのかと少し後悔しているライターの私です。

基板スクールに壊れた端末を持参するように言われました。ほとんどの人が起動しないスマートフォンを持ってきました。その中には、よく修理店に持ち込まれる起動はするもののスクリーンが表示されない、タッチに反応しない、音声が出ない、いわゆる”動かない”スマートフォンもありました。私はバッテリー交換時にディスプレイを壊してしまった友人のPixel 2と、起動せずに断続的にビープ音が3回鳴る2012年製MacBook Airを持参しました。

全部とは言わないまでも、これらのデバイスのほとんどは修復できるでしょう、とJessaは言いました。エンジニアとしてではなく、医師のような思考回路を持つように訓練されます。エンジニアの脳は、全てのデバイスに同じテストを行い、ボード上の各回路をテストして比較しながら、故障している箇所を見つけます。一方で医師の脳は、できるだけ症状に関連した多くの情報を集めた上で症状を見分け、最も可能性の高い病気と稀な例外を学びます。何より、医師は患者を回復させるために必要なことのみに意識を注ぎます。

2015年、iFixit本社オフィスでマイクロソルダリング入門をビデオ撮影するJessa Jones氏

Jessa Jones氏は、基板修理やデータ復旧の世界では有名な人物です。彼女やiPad Rehabスタッフがデバイスを修復できなければ、今のようにビジネスは成長していません。基板が物理的に折れたり、えぐれたり、CPUやストレージに深刻なダメージがない限り、彼女はデバイスをパスワード入力画面まで戻すことができます。中には、日常的に使用することができないほど損傷しているものもありますが、子供の写真やビジネス文書、亡くなった恋人からのメールなどを取り戻せる人は、私たちが想像するよりずっと多いのです。

しかし、1つだけ修復できない問題があります。それは、iCloudのアクティベーションロック です。このスクールでは、湖に落として死んでしまったiPhone SEを復活させたり、2つの電源を使ってiPad Miniをジャンプスタートさせたりします。しかし、iCloudのアクティベーションロックは、前の所有者でなければ打ち破ることのできない呪いです。Jessaが持つ1000以上のトリックが詰まったバッグの中に、それを回避できるものはありません。このことに気づいた時、期待を裏切れたような一週間で、酔いが覚めるような奇妙な瞬間が訪れます。

connecting a loose display and battery to an iPhone board
iPad Rehabのボードリペアスクール参加者が、iPhoneの基板に「良好状態の」部品を接続して、部品破損を原因から排除しています。

私たちは、基板修理の初歩的ルールとして、「他の全ての部品が正常に動作していることが証明されるまでは、基板に問題はない」という所からトレーニングを始めます。Jessaのショップでは、対応する全てのスマートフォン用に「安定した良い」クオリティのパーツを使用しています。基板を取り出したり、半田ごてを熱する前に、スクリーン、充電ポート、バッテリーを接続して、どのパーツが正常に動くか確認をします。Jessaは、この方法でテストするために、基板が緩んでいるiPhone 6を私たち一人一人に手渡しました。そこで、iPhoneの中で最も高価なパーツがプラスチックケース内で揺すられたり、テーブルの上に激しく落とされたり指でスクリーンやバッテリーが何度も外されたり、取り付けられています。これまで”慎重に”や”丁寧に”という言葉を含むiFixitの修理ガイドにばかり目を通してきた私は居心地の悪い思いに襲われます。

2日目には、チップに対する貴重な認識を深めることができました。緩んだ基板を手で持ちながら電圧摂取量をモニターしているJessaに、衝撃による破損や、誤って何かをショートさせたり、手に油のような異物が付着することを心配していないのか尋ねました。

私の質問に対して、Jessaは椅子を回転させながら、接続されたままの基板を目の高さまで持ちあげました。「この充電ポートが見える?」と言って、彼女はそれを舐めました。「たった数ボルトしかないわよ、Kevin。靴底のある靴を履いている?水が張られた浴槽の中で作業してますか?心配いりません。」

Jessaは、私のテクノロジー関連のジャーナリストキャリアで蓄積してきた様々な観念を、この一週間の大部分を費やして否定してくれました。彼女は誰のエゴも軽んじることなく、私たち一人ひとりが自分の人生やキャリアから授業に持ち込んだ問題を、すぐに研ぎ澄ませてくれました。例えば、授業が始まってわずか2日目で、私のハンダ付けや故障診断に関する概念の多くを「中程度から重度の考えすぎの病気」だと診断してくれました。それは、私が今まで完全に難しいと思い込んでいたものが、最も優しく励まされた不思議な方法でした。

“この充電ポートが見える?” それを彼女は舐めました。 “ケビン、たった数ボルトしかないわよ”

Shot from behind of Jessa Jones teaching her board repair class
水没被害にあった基板を顕微鏡で観察するJessa Jones氏

修理の実践編トレーニングは、まず目で基板を読むことから始まります。よく見ると、ワイヤ、ポートとそのピン、基板の金属(グラウンド)につながる動線、各チップの下のパッドと繋ぐ「ビア」と呼ばれる表面下のワイヤが確認できます。最も重要なのは、製造工場で使用される鉛フリーのハンダ、一般的に使用される鉛と錫のハンダ、そして高級なビスマスと錫のハンダなど、さまざまな種類のハンダについて知ることです。

これは、信頼できる電子製品に見られる、ある一つの逆説です。2000年代半ばに、メーカーは鉛ハンダをほとんど使わなくなりました。デバイスの大量生産の中で、鉛を使用しないことは地球環境にとって大きな影響があります。しかし、鉛フリーのハンダと比べてより脆くなります。一般ユーザー向けの鉛/錫のハンダを使えば、基板上の接続強度は向上します。Jessaは、このビジネスを初めて以来、eBayで購入した同じスプールで作業を続けています。「企業は鉛を使用しないことで、環境に負荷をかけないようにしますが、私たちはデバイスをできるだけ長持ちさせることで、同じことができます」と彼女は言いました。

基板とワイヤとハンダは、これらが繋がったボード上の仕組みを知る前の前提条件です。2日目は、コンデンサ、抵抗、トランジスタ、フィルタ、チョーク、ダイオード、降圧および昇圧コンバータ、モスフェット、コイルについて学びました。主にダイオードモードのマルチメータを使い、で赤いプローブを接地面に置いて、部品に突き当てて、3つの重要な故障測定の値を探します。

パーツが故障して、回路が不完全な状態になることをオープンと呼びます。(Jessaは「ブロークンオープン」と呼んでいます) この時、マルチメーターは “OL “を表示されます。(”オープンループ”もしくは”オーバーロード”) 回路に導通がなく、アースに対してほぼ無限の抵抗がある状態です。


短絡(ショート)や意図しない接続、通常はアースへの接続。マルチメーターが「0.0」と表示するのは、プローブとプローブの間に抵抗がなく、すでに接地されているためです。

抵抗値は、回路図やクラウドソーシングのダイアグラムに記載されている一般的な抵抗値とは大きく異なります。(これらについては、後ほど詳しく説明します)

Testing an iPhone's logic board with a multimeter
マルチメーターを使ってiPhoneのディスプレイポートのコネクタを点検中

マイクロソルダリング入門編は、これで一通り終了です。スマートフォンを落としたり、曲げたり、浸水したり、不安定な電力で充電すれば、スマートフォンは破損します。これらの基板パーツのいずれかがショートしたり、緩んだり、切断したりと何らかの方法で損傷しているからです。

ユージュアル・サスペクツ

スマートフォンに使用されているパーツは何百とある中で、どのパーツが死んだのかどうやって知ることができるでしょうか?経験豊富な人なら、スクリーンを剥がす前に察しがつくかもしれません。

面倒くさがりの修理工がバッテリーをスクリーンに接続したままにしておくと、ある薄いフィルターが焼損する傾向があります。”防水性能”を持つiPhone XのSIMカードスロット付近など、液体がデバイス内部に侵入することがあります。iPhone 6とiPhone 7は他の機種モデルと比べて、デバイス本体が湾曲する傾向があるため、チップ下にある小さなハンダボールの接続部が割れたり緩んだりして、iPhone 6/Plusではタッチパネルが応答しない「タッチ病」やiPhone 7/PlusではオーディオICの問題が頻繁に発生します。以前、修理ショップやDIYによるパーツ交換をした場合、”長いネジによる損傷 “がないかどうかも確認します。基板を専門とする修理ショップでは、このような難解な問題は、救急病院にやってくる喉のイガイガを訴える患者と同じぐらいよくあることです。

故障の原因が分からない場合はどうすれば良いでしょうか?基板のテストを幾つか行って調査します。簡単なテスト方法としては、USB電流計に繋げたケーブルをデバイスに接続し、起動状態を観察します。アンペア数の上昇、ループ、異常な低レベルでの停止を確認できれば、ブート、DFUモードでスタック、CPUやストレージの損傷による”脳死”などデバイスの状態について多くの事を知ることができます。

デバイスの大体の状態が分かったところで、基板を引っ張り出して問題の箇所を探します。テスト方法は主に3つあります。

  • 視覚によるテスト: 顕微鏡を使って基板を点検します。どの部品が腐食しているか、焼損しているか、ハンダが欠けているか、ハンダがくすんでいないか?他に、何か欠けているものはないか?
  • ヒートによるテスト: 基板に一瞬だけ電流を流し、どのパーツが他のパーツと比べて速く熱くなるかを確認します。
  • 手作業によるテスト: あらゆる回路につながる全てのパーツを点検し、必要に応じて物理的に取り外します。

“どのパーツが熱くなるのか、どうやって確認ればよいでしょうか?”という質問が浮かぶかもしれません。素晴らしい方法を教えましょう。 デバイスに取り付けたサーモグラフィを使えば、まだ青みがかった基板に、白く熱せられた部品が浮き上がってきます。もっと安上がりな方法は、フリーズキープスプレーを吹き付けて、どのパーツが一番にコーティングを溶かすか点検することです。さらにもっと安上がりで、おそらくお勧めできない方法は、Jessaがこの会社を立ち上げた当初に時々やっていたように、基板を自分の顔に当ててみることです。

Looking closely at a thermal camera hovering over an iPhone board
赤外線カメラを使って、デバイスの基板上の短絡して熱くなった箇所を発見する作業

この時点で、ボード上のどのパーツが動作しているか理解できても、そのパーツの役割や同じ回路上に何があるのかは分かりません。Jessaでさえ、すべてのコンデンサを認識しているわけではありません。そこで、手に入るはずのない巨大なPDFデータや、怪しい中国のソフトウェアに頼ることになります。

トラックから落ちた回路図とソフトウェア

回路図はPDFファイルで、テキスト検索が可能なので、例えば、USB_VBUS_DETECTで動作していると思われるものを、バッテリーからUSBコントローラチップまで、途中の抵抗で停止させながらたどることが可能です。複雑そうに聞こえますが、作業はほとんどControl/Command+F検索とネーミングスキームを解釈することです。

Samsungのように、回路図を販売しているメーカーも存在します。一方、Appleは回路図の販売や提供については、自社の製造チェーン以外では行っていません。それでも人々は回路図を手に入れ、基板レベルの修理を行う専門ショップはこの回路図を頼りにしています。もし「修理する権利」の法案が成立すれば、メーカーは自社で販売したデバイスを修理しようとする修理ショップに対して回路図を共有しなければならなくなるでしょう。

iPhone回路図の中にあるバックライトドライバーの図の一部。U1502というBGAチップと、それにつながるラインの電圧(PP1V8=1.8ボルト)、そしてアプリケーションプロセッサ(CPU)である「AP」につながるラインが見えます。この回路には、コイル(L1503の丸いヒル)、ダイオード(チップ上の右向き三角形)、コンデンサ(逆三角形のグラウンドのすぐ上にある2本の平行線)などが含まれています。

回路図は、小さな各ビットが何であるか、何をするのか、その正常な抵抗や電圧など、様々な疑問に対して答えてくれます。しかし、実際に巨大なPDFの回路図だけで作業すると、イライラしてしまうでしょう。1つの回路を追跡するのに何ページもめくらなければならないし、素人が理解できるようにネーミングスキームが最適化されているわけではありません。

そこで登場するのがBoard Viewソフトウェアです。Board Viewアプリは、回路図上に構築された便利なレイヤーです。パーツを見つけて、その回路をトレースする作業は、下水道図の中の排水溝を探すSimCityゲームのようです。ボードの俯瞰図から、問題があると思われるパーツをクリックするか名前で検索すると、そのパーツに接続されている全てがハイライト表示されます。

Jessaは基板修理を専門とする技術者たちと同様に、WTEAM, 別名 Zillion x Workを使用しています。このZillion x Workという名称は、これを使えばあなたの修理ビジネスの仕事が何億倍にも増えるというキャッチーな売り込みです。しかし、このアプリは使い勝手が悪く、多くのパソコンでウィルス警告を誘導します。その上、認証サーバーは中国にあり、米国からアプリ購入するのは難しいこともあります。(Jessaの会社ではライセンスを販売しています) iFixitでは、社内弁護士が禁止していることもあり販売していません。しかしながら、このアプリは基板を修理をする人には欠かせないものです。

私たちが学んだこと

一般的な大学の授業とは異なり、Jessaのボードリペアスクールでは、半田ごてを手に取る前に基板レベルの修理の理論や科学を学んでから実践に移ることを明確にしています。これは問題のある箇所を突き止めるのに時間をかけずに済む上に、無駄な作業を省けるからです。と同時に、「壊れた」デバイスに対する私の理解を再構築するものとなりました。動かなくなった一般消費者向けデバイスが、完全に「壊れている」のは稀です。デバイスに電気が流れていないことが原因であって、電気を流すために壊れたパーツを交換したり、再接続すれば良いのです。

スマートフォンから絵文字を送ったり、天気を調べたりするために多くの時間を費やしてきた人にとっては、あまり意味のない話に聞こえるかもしれません。しかし、私にとっては気づきの多い貴重な時間でした。スマートフォンやタブレットが日常生活の中に入ってきて以来、私とスマートフォンの関係はGalaxy-Brainスタイル的な進化を遂げました。つまり、次のような関係です。

「 バッテリーが切れました。新しいモデルを手に入れる時かもしれません。」

「修理店で、スクリーンやバッテリーを交換できます。」

「実は、私でもスクリーンやバッテリーを交換できるのです。」

「そうですね、でもこの携帯電話は突然、起動しなくなったので、新しい機種に変更しなければいけません。」


このレッスンの最終講義は、あなたもスマートフォンの頭脳も直せます、という内容でした。頭脳は小さな配線の集合体だからです。極小のものを拡大して見れる装置があれば、必要な小さな修理も可能です。そのためには十分なケアも必要です。

参加者が持ち込んだ事例のひとつに、様々な厳しい環境を生き残ってきたiPhone 6がありました。バックライトは切れ、スピーカーも動かず、オーディオICチップも故障しているようで、他のチップも破損していました。このデバイスはAppleのGenius Barとの間を何往復もしており、他に2人の修理技術者の手にも渡ってきました。しかしJessaは、これまでの技術者たち全員が見逃していたものを発見しました。CPUのすぐそばにある抵抗器が故障していたのです。

抵抗器は丈夫で滅多に故障しませんが、壊れてしまうと一本の線が残ります。Jessaは、他の基板から交換パーツを取り出してきて、つなぎ合わせました。スクリーンのバックライトを剥がし、顕微鏡の光にディスプレイを当てて、プラグを差し込みました。

An iPhone screen lit up by a microscope camera

すると、Appleのロゴが現れ、パスコード画面が出てきました。言うまでもなく、クラスから歓声が上がりました。その時、私はこうノートに書き留めました。「ついに改心。正真正銘の黒魔術を見た」 どうしようもない気持ちよりも、どこかの秘密結社に入ったような気持ちになっていました。 

来週は、熱、ハンダ、フラックス、小さく輝いているチップボールなど、実際の基板修理に必要なものを使って、どのように修理を行うかを詳しく説明します。ネタバレ注意:Jessaの手に掛かれば、極小なパーツ操作がいとも簡単に見えてしまうことがあるかもしれません。(私ですか?そこまで簡単にはいきませんでした)


[1]: この文中の信憑性については、小学校2年生だった時にハンドラティングを評価してくれた先生と中学2年生時のレスリングのコーチ、私が1時間以上かけて執筆した論評を読んでくれた編集者たち、スーパーへ果物のお遣いを頼む妻に起因します。

*このブログは土井みどりによって翻訳されました。