aボタンが反応しない

結論から言ってしまうと、どうしても自力で修理してみたいのでない限り、メーカーに修理を依頼するか街中などにあるSwitchの修理を請け負う修理業者さんに相談するのが確実かつ現実的だと思います。

最初にメーカーFAQのSwitch Liteのボタンが正常に反応しないのページへのリンクを貼っておきますが、ボタンの動作チェック方法しか載っていません。

まず、問題のボタンの構造についてですが、ボタンの裏に導電性パッドの付いたドーム型のゴム製の膜があり、さらにその奥の基板上にパッドが押しつけられる接点がある、という構造になっています。ボタンが押し込まれるとパッドが膜ごと基板上の接点に押しつけられることでボタンが押されたことを感知し、ボタンから指を離すとゴム膜の弾力でパッドが接点から離れて押されていないことを感知できる、という仕組みです。これはテレビなどのリモコンのような安価なボタン付き電化製品でもよく使われている構造なので、よくわからない場合は不要なリモコンなどを分解すると確認することができます。

この構造のボタンで特定のボタンだけ反応が悪くなった場合、大抵の場合は分解して導電性パッドと基板上の接点をイソプロピルアルコールで清掃すると一時的（症状が再発する可能性はあるという意味で）に改善します。今回も自力で直すなら、まずこの作業を行うことが最初の目標になります。ただし、自力で作業するには大きな問題が2つあります。一つは、作業自体と作業に必要なものを揃えるのが修理初心者さんには若干難し目なこと、もう一つは清掃で改善せず部品交換が必要になった場合、案外入手が難しいことです。

問題のボタンを修理するガイドはiFixitにはありませんが、右側ジョイスティックの交換ガイドを参考にすれば清掃できる状態までは分解できます。作業自体は修理に慣れていれば難しくないのですが、構造上一度マザーボードを外す必要があるので着脱するコネクタが多めになります。また、途中でヒートシンクを外す関係で、再組立の際に放熱グリスを塗布し直す必要があります。

工具類については入手方法さえ分かっていれば入手自体は難しくありません。工具はiFixitのNintendo Switch用工具セットかEssential Electronics Toolkit（もしくはもっと大きいセット）があれば必要なものは揃っています。後者なら国内のiFixit販売代理店さんも扱っていますので、送料や納期や今後の使い回しのことを考えると個人的には後者がおすすめです。放熱グリスは電子工作や自作PCのお店、マイクロファイバークロスはホームセンターなどで売っています。清掃用のイソプロピルアルコールが入手しにくそうに見えますが、実はガソリンタンク用の水抜き剤がほぼ純粋なイソプロピルアルコールですので、自動車用品店やホームセンターなどで手に入ります。念の為成分表示を確認して、できれば防錆剤などが入っていないもの（経験上高いものの方が入っている可能性が高い）を選んだ方がいいかも知れません。間違ってディーゼル車用や軽油用の水抜き剤を使わないように注意して下さい（代用できるか確認していないという意味でも）。

さて、自力で分解清掃して症状が改善したのならよいのですが、問題は清掃で問題が解決せず、部品の修理交換が必要になった場合です。問題の部品の接点はマザーボード上にあるので、部品の修理交換が必要になった場合、マザーボードか導電性パッドの付いたゴム膜の少なくともどちらか一方の修理交換が必要になります。マザーボードの方はiFixitでも扱いはあるのですが、本回答執筆時点で品切れです。とはいえ、他のサイトを探せば扱っているところは結構見つかります。単品のマザーボードはそれなりのお値段がしますので、マザーボード自体を修理できる業者さんが見つかればそちらの方が安く済むかと思います。問題はゴム膜の方で、こちらの方は扱っているところがほとんどなく、非純正品と思われるゴム膜セットが1件見つかっただけでした（部品の品質が保証できないのでリンクは貼りません）。仮にこちらを使うとしても、部品自体は安いのですが送料のほうが圧倒的に高く（数千円）なってしまいます。

以上の点を踏まえ、万一部品交換が必要だった場合のことを考えると、交換用部品をほぼ間違いなく持っているメーカーでの修理に修理を依頼するか、部品在庫や入手経路を持っている可能性が（一般人よりは）高い修理業者さんに相談するのがよろしいかと思います。